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明治日本の産業革命遺産
幕末に現れた西洋の艦船に驚き、国の安泰を案じ、日本は非西洋諸国で初めて1850年代〜1910年のわずか50年余りの短期間で、製鉄、造船、石炭産業を基盤とした産業化を成し遂げました。
これは、ヨーロッパに端を発した産業革命が西洋から非西洋へ伝播し、世界を舞台としたダイナミックな技術移転が初めて成功したことを示す遺産群なのです。
8つのエリアと23構成資産
エリア1
萩 山口県萩市
- 萩反射炉
- 恵美須ヶ鼻造船所跡
- 大板山たたら製鉄遺跡
- 萩城下町
- 松下村塾
エリア2
鹿児島 鹿児島県鹿児島市
- 旧集成館
- 寺山炭窯跡
- 関吉の疎水溝
エリア3
韮山 静岡県伊豆の国市
- 韮山反射炉
エリア4
釜石 岩手県釜石市
- 橋野鉄鉱山
エリア5
佐賀 佐賀県佐賀市
- 三重津海軍所跡
エリア6
長崎 長崎県長崎市
- 小菅修船場跡
- 三菱長崎造船所第三船渠
- 三菱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン
- 三菱長崎造船所旧木型場
- 三菱長崎造船所占勝閣
- 高島炭坑
- 端島炭坑
- 旧グラバー住宅
エリア7
三池 福岡県大牟田市・熊本県荒尾市
- 三池炭鉱・三池港
熊本県宇城市
- 三角西港
エリア8
八幡 福岡県北九州市・中間市
- 官営八幡製鐵所
- 遠賀川水源地ポンプ室
世界遺産価値
「明治日本の産業革命遺産」は、シリアル・プロパティ(関連性のある遺産群)による世界遺産であり、世界遺産価値として伝えるべきOUV(顕著な普遍的価値)は、その遺産群全体が伝える産業化の歴史という無形のものです。遺産群は、製鉄・製鋼、造船、石炭産業の三つの産業分野における産業化の歴史の証人の役割を果たしています。この三つの産業分野は、機械製造や鉄道なども含めて、相互に補完する関係にあり、相乗効果を発揮しながら発展してきました。
近代造船には鉄が不可欠です。鉄には還元材料として大量の石炭を必要とします。さらに船舶運航の増加は、その燃料として石炭が必要となります。船舶の増加は港湾建設を促し、土木資材としての鉄が必要になります。石炭を増産するためには、堅牢な坑道の建設やポンプ、運搬機器等が必要となり、その製造のためには鉄が必要となります。官営八幡製鐵所は、製鉄・製鋼の分野で産業化の達成を締めくくる最終段階を示す遺産群です。製鉄・製鋼、造船、石炭産業における個々の遺産が示す産業の発展だけでなく、産業分野を超えた相乗的な発展こそが評価された世界遺産価値なのです。