トピックス
2023.03.24
「明治日本の産業革命遺産フォトコンテスト」選考結果
たくさんのご応募ありがとうございました。
厳正な審査の結果、入賞作品が決定しました。
最優秀賞
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「悠久のたたら場跡と星空」
佐々木 弘文さん
撮影対象資産:橋野鉄鉱山
作品に込めた思い
近代製鉄の高炉が動いていた頃の空は、これからも変わらず流れていく。高炉の炎で染まっていたであろう夜空を、オレンジ色の外灯で染まる雲や天の川の星雲で表現してみました。
優秀賞
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「Maiden Voyage」
竹田 礼人さん
撮影対象資産:端島炭坑
作品に込めた思い
端島は日本の近代化を支えた産業革命から現代に至るまでずっと⻑い船旅を続けていたのだろう。そう思わせる程荘厳でした。 処女航海は終わらない。 そしてこれからも全ての思いをのせて未来へと繋げていくのだろう。
審査員コメント
軍艦島の写真を多数見てきたが、この珍しい視点からの写真に思わず目が止まった。現代だからこそ撮れる写真である一方で、きちんと構図を考え、まさに船に見立てて撮影をしている。写真の仕上げ方も建物の詳細がはっきりとわかるようにしており、全体的には人がいなくなったからなのか島からの寂しさも感じる。撮影者もご自身の写真を見たときに、きっと感慨深く感じたのではないでしょうか。
山村健児
端島を写した作品は多くの応募がありましたが、他にはない堂々としたアングルで撮影されていて、端島がもつ存在感のようなものが一番良く表現されている写真です。
高橋草元
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「秋の色」
小林 浩治さん
撮影対象資産:遠賀川水源地ポンプ室
作品に込めた思い
ここに来て壁面のツタの色付きを見るたびにまた一年がすぎて行くんだな、、、と少し刹那くなります
審査員コメント
少しビネット効果のやりすぎ感はあり、先に背景の赤色に紅葉をしている蔦の壁に一瞬目がいくものの、被写体を真ん中に置くことによってしっかりと主人公にも目がいくように向けられている。季節のタイミングはばっちりで、タイトルの通り秋の色を感じさせる写真となっている。撮影者が「写真の視点」になっていたからこそ、全体的にバランスよく撮れ、仕上がっている写真。
山村健児
ポンプ室の前にある大きな木を真ん中に配置してそこにフォーカスしている構図がとても面白いです。後ろにあるポンプ室の赤いツタと木の緑のコントラストも素敵でしたし、この木がポンプ室と共に過ごしてきた時を感じる作品でした。
高橋草元
エリア賞
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■萩
「明治の軌跡、今」
齋藤 暁さん
撮影対象資産:萩反射炉
作品に込めた思い
産業発展の礎を築いた産業革命遺産 明治以降、日本の発展に大きく貢献して来た。遺産は私達の財産です。
萩エリア関係自治体
当時、試行錯誤をしながら建設された萩反射炉と、製鉄技術の進歩により製造された電車が同じ空間に捉えられている点は、昔があるから今があることを描写していました。また、背景の桜がその成果を祝福しているかのような絵姿となっています。目を引く作品です。
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■鹿児島
「集成館反射炉」
奥田 重一さん
撮影対象資産:旧集成館反射炉跡
作品に込めた思い
桜島が背景で勇壮
鹿児島エリア関係自治体
産業遺産である反射炉跡と、バックの桜島のシルエットに美しい空の色が映える絶妙な一枚です。近代日本の夜明けのイメージとともに、今も昔も変わらず見守ってくれる桜島の勇壮さが感じられます。
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■韮山
「秋空に映える」
下坂 周示さん
撮影対象資産:韮山反射炉
作品に込めた思い
気持ちの良い青空と真っ赤な紅葉、聳え立つ反射炉が印象的でした。
韮山エリア関係自治体
近景の紅葉と秋の青空との鮮やかなコントラストの中に、まっすぐに立ち上がる韮山反射炉の姿が映えて、まるで絵のような一枚。自然の風物と、産業遺産である反射炉との取り合わせを見事に切り取っていただきました。
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■釜石
「原燃料の山と橋野一番高炉」
藤原 信孝さん
撮影対象資産:橋野鉄鉱山
作品に込めた思い
一番高炉背景100メートル先からは非公開エリアですが、鉄鉱石の採掘場、木炭源の森林そして運搬路と、往時を偲ばせる豊かな森が広がっています。
釜石エリア関係自治体
青空と緑豊かな自然が一番高炉を引き立てていてとても素敵です。また、青空、森林、高炉とバランスよく配置されていて自然の恵みを利用しながら、鉄生産に勤しんだ歴史をイメージできます。こんな山奥で産業革命が始まったのがすごいです。
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■佐賀
「枠から望む明治日本」
長澤 祥子さん
撮影対象資産:三重津海軍所跡
作品に込めた思い
明治の最新技術を用いた場所を、今新しい技術を用いて、私たちに伝えようとしてくれました。歴史の流れのなか先見の目をもち新たな技術を活用する柔軟な考えを持つことも必要だと思いました。
佐賀エリア関係自治体
佐野・三重津歴史館で運用している「れきナビ」を、大きく手を伸ばして無邪気に楽しんでいる姿が色鮮やかに映し出されていました。幕末の歴史が未来に伝わっていく様子が感じ取れる、とても素敵な写真です。
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■長崎
「みなとの守り人」
Kataoka Genkiさん
撮影対象資産:三菱長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン
作品に込めた思い
長崎港の発展を伝える令和(いま)を生きる証人これからも長崎港を見守り発展を支え続けて欲しいと思います。
長崎エリア関係自治体
日本近代化の舞台となった長崎港を長年見守ってきたジャイアントカンチレバークレーンの目線で、長崎港の日常がさわやかに表現されている素晴らしい1枚だと感じました。これからも、変わらずつないでいきたい風景です。
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■三池
「次世代への橋渡し」
永野 佳史さん
撮影対象資産:三池港
作品に込めた思い
幕末から明治期にかけて、短期間で飛躍的な発展を成し遂げた「明治日本の産業革命遺産」ですが、現存する歴史的な建造物などに触れることで、日本の産業化が世界的な観点からも極めて重要であることが分かります。その反面、産業化を支えた労働者の方々の努力が今の日本を造り上げ、その上に私たちは生活できていることを実感できます。世界遺産の三池港に沈む夕陽を眺めていると、同じように夕陽を眺めながら将来の日本をどんな風に想像していたのか、また、想像とおりの日本を築き上げているのか考えてしまいますが、こうした文化遺産に足を運ぶことで、次世代への橋渡しと先人の方々への敬意を表すことができると思いながらシャッターを切りました。
三池エリア関係自治体
三池エリアは2県3市に広がるため、各県市から2作品ずつ候補を選び、さらに最終決戦投票も行った結果、当該作品を三池エリア賞として選出させていただきました。多くの優秀な作品の中から、厳選して選ばせていただいた三池エリアイチオシの作品です。 三池港閘門に沈む夕日「光の航路」の写真です。構図全体は夕日の淡いオレンジ色の美しい風景写真ですが、被写体は明治41年から稼働し続けている産業遺産三池港というマッチングに、世代をつないで産業を営み続けてきた歴史の重みがひしひしと伝わる写真です。
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■八幡
「夢と浪漫を求めて」
吉光 清成さん
撮影対象資産:官営八幡製鐵所旧本事務所
作品に込めた思い
地元北九州の地から日本近代化の礎が築かれた事を誇りに思うとともに、 次もこの地から新しい時代が拓かれる事に期待をしています。
八幡エリア関係自治体
旧本事務所へと延びる線路が、日本の近代化の礎となったこれまでの道程と、その歴史をこれからも引き継いでいく未来を感じさせる写真として選びました。
「明治日本の産業革命遺産」世界遺産協議会事務局コメント
厳正なる審査の結果、最優秀賞1作品、優秀賞2作品、エリア賞8作品が選ばれました。おめでとうございます。
この度、「明治日本の産業革命遺産」の全エリアを対象としたフォトコンテストを初めて実施しました。たくさんのご応募、誠にありがとうございました。応募作品は、資産そのものだけでなく、景観を含め様々な視点からその当時の時代から今につながる魅力を切り取った写真が多く寄せられました。その中でも入賞作品は、構成資産の魅力が最大限に引き出された力作が揃っています!じっくりとご覧いただき、先人たちの偉業に思いを馳せていただければ幸いです。そして、ぜひまた「明治日本の産業革命遺産」を巡ってみませんか!
審査員
山村健児
アメリカのカリフォルニア州にあるビッグ・サーにて、一枚のポストカードに 魅せられて始めた風景写真が 2013年1月。以来、日本は47都道府県、アメリカ、アイスランド、 北欧、そしてニュージーランドなど世界を飛び回りながら絶景を撮影し、現在も撮り続けている。また、風景写真に必要な3つのレシピ「いつ・どこで・何が撮れるのか」を共有する写真サービスPASHADELICを創業。SNSでは15 万人以上のフォロワーがおり、インフルエンサーとしても活躍をしている。
高橋草元 株式会社アマナフォトグラファー
大学ではデザインやプログラミングを学び、趣味で始めた写真に魅了され、毎日スナップ写真を撮影する日々を過ごす。アマナに入社後、スタジオでのライティング技術を学び、大学で学んだ幾何学的な視点とスナップ写真で培った感覚的な要素を得意とし、現在は人物撮影と物撮りを軸に活動中。
「明治日本の産業革命遺産」世界遺産協議会
世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の管理保全及び理解増進・情報発信を推進するための組織。8県11市で構成(福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、山口県、岩手県、静岡県、北九州市、大牟田市、中間市、佐賀市、長崎市、荒尾市、宇城市、鹿児島市、萩市、釜石市、伊豆の国市)
審査員コメント
背景の光と雲の色が完全に高炉を連想させ、テーマがしっかりとしている。星空と対象物を撮るために何度かこの場所に足を運んでいたのであろうか。雲の光は偶然だとしても、撮影者の行動力が生み出した結果の写真。星景写真なのできちんと三脚を使用しているのはもちろんのこと、星が流れていないので適正なシャッタースピードであること、構図も考えて撮っていることが伺える。
山村健児
星空に映えるオレンジ色の雲や雪景色の中に存在する高炉の色合いのバランスがとても綺麗です。星空を撮影するには撮影の技術も必要になると思いますし、構図含め文句なしの最優秀賞です。
高橋草元